関西ではチヌと呼ばれるクロダイは、釣り人にはおなじみの魚ですよね。
なかでもルアー釣りならではのポッパーを使ったトップウォーターゲームは、華やかでエキサイティングで戦略性が高くて、面白いんです。
ただし、慣れていないと、なかなか成立しないこともあります。
ポッパーを派手にアクションさせておきながら、チヌにもキビレにも見向きもされないなんて、相当かっこ悪いですよね。
チヌの習性や釣れる時期、場所、ルアーの動かし方などを学んで、しっかり戦略を立ててからでかけましょう。
狙いどおりチヌやキビレを釣り上げたときの喜びは、適当に釣ってるときの何倍にも跳ね上がりますよ。
目次
チヌ(クロダイ)の習性を知ろう
なにはともあれ、ルアー釣りではまずターゲットとなる魚のことをよく知っておくのが大事です。
なんせ、ただのプラスチックを魚が大好きなエサかのように見せかけて、うまく誘わなければいけないんですから。
チヌに恋してるくらいの情熱で、チヌの気持ちを理解していきましょう。
チヌは普段なにを食べてるの?
チヌは小魚や貝、カニ、エビ、スイカやコーン、みかんまでいろんなものを食べちゃいます。
とくに貝類が好きなようで、岸壁についたカラスガイなどをバリバリと噛み砕いて食べます。
あごの力が強いんですね。
フィールドをそっと観察して、貝がびっしりついていたり、貝殻をたくさん見かけるような場所を見つけてください。
近くにチヌがたくさんいるかもしれません。
このように普段は水底や岸壁をついばんで貝などのエサを探しているのですが、水深が浅い場所では水面のルアーにもガブっと食いついてきます。
好奇心旺盛なのか、食欲旺盛なのか、はたまた積極的なのか攻撃的なのか。
繊細なチヌたちの本心は分かりません。
チヌは捕食がそこまで上手じゃないので、貝などのあまり動かないものの方が本当は食べやすいんでしょうね。
そのへんも考えて、チヌが食いやすいようにポッパーをアクションさせる必要がありますので、覚えておいてください。
関西や四国ではチヌと呼ばれているクロダイですが、九州ではチンとも呼ばれます。
また、奄美諸島と琉球列島には、ミナミクロダイという固有種が生息しています。
チヌはどこにいるの?
チヌは「マジでこんなとこで生きてるの?」って思うような都会でも釣れて、本当にいろんな場所に生息しています。
変わったところでいうと、昔デートで行った長崎県のハウステンボスで50㎝オーバーのチヌを見かけました。
いろいろ食べるので、適応能力が高いんでしょうか。
しかし、ポッパーでチヌを狙うなら、河口などの汽水域や小磯、根や海藻が点在する砂浜などで、水深の浅い場所を選びましょう。
トップゲームなので根掛かりを恐れる必要はほとんどありません。
攻めていきましょう。
チヌがいそうなポイントとしては、
- 水の流れに変化のある場所
- ストラクチャー(障害物)のある場所
が、挙げられます。
海をよく観察してみてください。
波をよく見て潮目を見つけられたら、そこへ投げてみましょう。
色の濃い場所には、底に藻があるかもしれません。
干潮のときにフィールドを訪れて、事前にボトムになにがあるか見ておくのも手ですよ。
そもそも浅いところでは、チヌやキビレの黒い影を目視できるときもあります。
広範囲を探っていくトップゲームですが、闇雲に投げればいいってもんでもありません。
意識的にチヌが捕食している小魚がいそうなところを狙って、どんどんキャストしていきましょう。
汽水域とは、海水と淡水が混じりあっている部分のことです。
なぜここに魚が集まるのかというと、栄養豊富な水が流れ込んでいるからです。
排水が流れ込んでいる場所や、砂浜などでちょっと水が流れてきているような場所も要チェックですよ。
チヌはいつエサを食べるの?
チヌは水温の高い夏場ほど浅いところに入り込んできます。
なので、水温が高くなりチヌの活性も上がる、夏真っ盛りの時期がポッパーでのトップゲームに適していると言えますね。
しかし、水深が浅いからといって不用意に近づきすぎないようにしてください。
チヌは警戒心が強いので、驚かせると捕食しなくなっちゃいます。
同じ理由で、水が澄んでいるときよりも、雨のあとなど水が濁っているときの方が警戒心が薄れて釣りやすくなりますよ。
ただし、夜はトップチニングには向いていません。
ベストな時間帯は朝です。
まとめると、夏場の朝マヅメが一番ポッパーでチヌを釣るのに一番おすすめです。
一番いい時期は気温やフィールドによって異なってくるので、釣り場の近くの釣具店やインターネットで事前に情報収集して行きましょう。
ポッパーでのチニングに必要な道具は?
さて、チヌの気持ちを理解したら、今度はチヌをゲットするためのアイテムをそろえていきましょう。
基本の道具のほかに、特にチニングのために持っていっておいた方がいいものを紹介しておきます。
タックル
各メーカーからチニング用のロッドがたくさん発売されています。
が、もしすでに持っているメバルやアジ、シーバス用のものなどがある場合、それで代用してみてもいいと思います。
長さ6〜8フィートくらいでティップ(竿先)が細めのものがおすすめです。
リールは小型のスピニングリールですね。
メインラインはPE0.6〜0.8号で、ショックリーダーはフロロカーボン16〜20lb(4〜6号)あたりを1mつないでおけばいいでしょう。
ルアー
ルアーは6cm前後のポッパーを用意しましょう。
チヌは黄色に特に興味を示すという実験結果もあるそうなので、黄色のポッパーを持って行くといいかもしれません。
念のためポッパーの他にも
- ミノー
- バイブレーション
- ペンシル(6〜9センチくらい)
などを持って行っておきましょう。
釣り場の水深が思ったより深く、ポッパーで釣れなかった場合に、もう少し深いレンジを探れます。
フィッシュグリップとプライヤー
チヌは貝を噛み砕くほど、強いあごの持ち主なので、間違っても素手を口に突っ込んで掴んだりしないでくださいね。
うっかり歯を掴んでケガでもしたら、楽しい釣りが台無しです。
チニングにおいてフィッシュグリップとプライヤーは必須アイテムと言ってもいいでしょう。
ランディングネット
意外と忘れがちなのが、このタモ網ですよね。
車に置きっぱなしにしてたとか、よくあります。
せっかくヒットしたチヌを引き上げるために、忘れず持っていきましょう。
チヌを効果的に誘うポッパーのアクションは?
チヌは音にも反応するので、ポッパーの特徴である音と泡でしっかりアピールしていきましょう。
基本は巻くと同時に竿を振って、ポコン、ポコンと動かします。
ポッパーを上手に動かすと、どんな動きになるのかチェックしておきましょう。
チヌは吸い込むようなバイトよりも、噛み付くバイトが多いので、できるだけポッパーの動きを小さめにしてあげたいところ。
そこでラインスラッグ(糸のたるみ)を生かしながら、アクションさせることで移動距離をおさえることができます。
糸を少したるませた状態で、竿を振り下ろしつつ巻いていくイメージです。
しかし、その日のチヌの気分によってルアーの動かし方を変える必要があります。
動きを止めるとルアーだと見切られてしまう時がありますので、そのときは動かし続けなければいけません。
これでもかっていうくらい全速力で巻いていても食ってくる時もあります。
逆にルアーを止めないと食ってこない時もあります。
そのときは、ポコポコポコと動かして、3秒待つ。
またポコポコポコと動かして、3秒待つ。
を繰り返していると、3秒待っている間に「フッ!」とルアーが消える時があります。
背筋がゾクゾクする最高の瞬間ですね。思い切りあわせましょう!
パターンを見つけるのが初心者にはちょっと難しいかもしれませんが、ルアーの動きも追ってくる魚も目で見えますので、わりと練習しやすいかと思います。
ぜひ挑戦してみてくださいね。
腹ビレや尻ビレ、尾ビレの一部が鮮やかな黄色をしているので、すぐにチヌとは違うことが分かりますよ。
四国や九州の南部など、どちらかというと西日本や南の方に多いと言われています。
全長は最大でも45センチくらいと、チヌよりやや小ぶりです。
チヌもキビレも生息している地域では、どちらが釣れるか楽しみながら釣りができますね。
なぜチヌがポッパーで釣れるのか?
ここまでポッパーでのチニングを紹介してきました。
それでもある種の疑問が残る方もいらっしゃると思います。
繰り返しになるところもありますが、「なぜチヌがポッパーで釣れるのか?」についてまとめておきます。
- チヌって底を狙うのが基本じゃないの?
- チヌは警戒心が強い魚なのに本当にポッパーで釣れるの?
- チヌってフィッシュイーターだったっけ?
疑問1:チヌって底を狙うのが基本じゃないの?
確かにふかせ釣りや、ダゴチン釣りなどのほとんどのエサ釣りでは、べた底を狙うのがセオリーです。
しかし、瀬渡し船に乗る前や、早朝の港の中で水面に顔を出しているチヌの群れを見かけたことのある方も意外と多いのではないでしょうか?
落とし込み専門でチヌを狙う方も底だけを狙うことはしないはずです。
キッチリと水面から底までを探っています。
つまり、「チヌ釣りは底を狙うべし!」というのは間違った考え方です。
ふかせ釣りなどのエサ釣りであえて底を狙うのは、撒き餌や団子を一ヶ所にまとめた方がチヌを寄せやすく、煙幕を作ることで警戒心が薄れて釣りやすくなるという理由からきています。
実際に海底がゴツゴツした磯では、軽い撒き餌を使って、チヌを浮かせて釣るのが主流です。
さらに付け加えて、チヌが浅場に移動しやすい夏の早朝という条件が加われば、ポッパーでチヌを釣ることは十分に可能です。
疑問2:チヌは警戒心が強い魚なのに本当にポッパーで釣れるの?
チヌは足音や人影にも敏感に反応するほど警戒心が強い神経質な魚です。
そんな魚を、ポコポコうるさいポッパーで狙うなんて一見矛盾してるように思えますが、それ以上に好奇心のほうが上回ってしまう憎めない魚なんです。
警戒心が強いだけなら、絶対にスイカとかコーンは食べません。
海の中に存在しないスイカやコーンで釣れるという事実が、警戒心よりも好奇心のほうが上回っていることの証明になると思います。
なのでチヌの気持ちになってみれば、逆にポコポコうるさい方がそそられるのではないでしょうか。
疑問3:チヌってフィッシュイーターだったっけ?
チヌ釣りのエサと言えば、オキアミ、ゴカイ、ダンゴ、カニ、貝類、スイカ、コーンなどがメインに考えられます。
雑食性ということはよく知られていますが、魚を食べるイメージはあまり持たれていないかもしれません。
しかしながら先に紹介した動画の通り、立派なフィッシュイーターです。
私の地元では、ハゼやキスを泳がせてチヌを狙うことは珍しくありません。
- 「チヌ釣りは底を狙うべし!」というのは間違った考え方
- 警戒心より好奇心のほうが上回ってしまう
- イメージはないが、立派なフィッシュイーター
以上のことが、「なぜチヌがポッパーで釣れるのか?」についての私なりの答えです。
まとめ
- ポッパーを使ったチヌのトップウォーターゲームはエキサイティング
- チヌの好物は貝類、でもけっこう雑食
- 夏場はトップウォーターの小魚にも食いつく
- チヌはいろんなとこにいる
- ポッパーで狙うなら河口や小磯、砂浜の浅いところ
- 水の流れに変化のある場所を狙ってキャスト
- 水底にストラクチャー(障害物)のある場所を狙ってキャスト
- チヌは水温が高くなると浅いところに来る
- 熱い夏の朝マヅメがチヌトップゲームも熱い
- チヌは警戒心が強いので驚かさない
- 水がにごってる日の方が釣れる
- フィッシュグリップとプライヤーを忘れずに
- 6センチ前後のポッパーを持っていく
- 音と泡でしっかりアピール
- 動かすほうか、止めるほうかパターンを見極める
チヌのトップウォーターゲームの魅力は、水面で跳ねるルアーを追うチヌの黒い影や、バイトの瞬間まではっきりと見えることです。
自らのテクニックを駆使して巧妙に誘って噛ませます。
強い引きで逃げようとするチヌとのファイトも胸が高鳴る瞬間ですね。
引き寄せてタモですくい、自分で釣り上げたぞ!という達成感も味わえます。
見てるだけでも楽しい釣りなので、彼女にカッコいいところを見せつけたい人にもおすすめのゲームです。
ただし、ぶっつけ本番で釣りに連れて行って、釣れなかったら彼女を失望させてしまうかもしれませんので注意が必要です。
しっかり情報収集して、さらに何度も同じ場所で成功させてから連れていきましょうね。
録画しておいてそれを見せてあげるのが一番安全かもしれません。
釣りも恋愛も安全第一で楽しんでいきましょう。
コメントを残す